作品目録

リデル・森の中

ポーの一族シリーズ

初出誌
「別冊少女コミック」1975年6月号(1975.6.1) p69~84(16p)
受賞
第21回(1975年度)小学館漫画賞受賞(「ポーの一族」シリーズとして)
登場人物
エドガー
アラン
リデル(リーランド・ソドサ夫人):エドガーとアランに育てられた少女
リデルの祖母
オービン卿
あらすじ
エドガーとアランとリデルは森の中にある館を転々として暮らしている。幼いリデルにエドガーとアランが様々なことを教え、育てているが、外界との接触はまったくないままだ。少し大きくなると、森から森へ移る途中で人のいる村を通りかかり、それだけでリデルは驚く。エドガーとアランとリデルの3人の森での生活は調和を保っているが、時折リデルは自分だけが彼らから離されるのではないかと不安になる。
10歳の春、リデルは大きな街に行く。そこで大きな屋敷に入ると、祖母が待っていた。リデルはエドガーとアランにおいて行かれたことを知り、泣くのだが…。
コメント
「ペニー・レイン」の続編です。発表は「ペニー・レイン」の次の号ですし、単行本収録も小学館叢書以外はすべて必ずこの2作はくっつけています。リデルを連れて新たに旅立ったエドガーとアランのお話を年老いたリデルがオービン卿に語るという形式をとっています。
森の世界と人間の世界の対比がわかりやすく、描かれています。最初に読んだとき、このイングランドの森の世界というのがどれほど詩情あふれる世界なのかと、憧れたものです。
エドガーは当初リデルを仲間に加えるつもりで連れて行ったのに、迎えてくれる親族がいることがわかり、連れて行ったのでしょうか。エドガーがリデルに「リデルは僕たちよりも大きくなるよ」と言っているシーンがあります。せめて同じくらいの年齢に成長するまでは仲間に加えることが出来ないので育てているのかと思いましたが、最初からいずれは人間の世界に戻そうと思っていたのだと、この台詞でわかります。
おそらく、エドガーはアランと二人きりで行くのが不安だったのではないでしょうか?アランは甘やかされて育ったので、わがままなところがあるし、血のつながった妹とは違います。リデルは実際にけんかの仲裁などをして、二人の間を触媒のようにつなげています。言葉は悪いですが、倦怠期の夫婦のペットのような存在だったのではないかと思います。
それでも、二人がリデルをかわいがっていたことは確かで、両親がいなくても2歳から10歳の間、幸せに暮らしていた様子が、「ポーの一族」シリーズの中でも、ほっとさせる暖かい作品にさせているのだと思います。
ここでオービン卿が初登場します。この狂言回しは後半の「ポーの一族」シリーズに頻繁に登場しする人物ですが、ここが最初でした。

2010.5.7

収録書籍
ポーの一族 第4巻(フラワー・コミックス4)

ポーの一族 4 フラワーコミックス 小学館 1976.1

萩尾望都作品集 第8巻 ポーの一族 3

萩尾望都作品集 8 ポーの一族 3 小学館 1978.10

ポーの一族 第3巻

ポーの一族 第3巻 小学館叢書 1988.7

ポーの一族 第1巻

ポーの一族 第1巻 小学館文庫 1998.8.10

パーフェクトセレクション2

Perfect Selection 7 ポーの一族 II 小学館 2007.11

温室

アロイス