作品目録

小鳥の巣

ポーの一族シリーズ

初出誌
「別冊少女コミック」1973年4~7月号 135p
第1話:1973年4月号 p457~487(31p)
第2話:1973年5月号 p417~447(31p)
第3話:1973年6月号 p333~372(30p)
最終話:1973年7月号 p417~447(31p)
受賞
第21回(1975年度)小学館漫画賞受賞(「ポーの一族」シリーズとして)
登場人物
エドガー
アラン
キリアン・ブルンスウィッグ:ギムナジウムの生徒。東ドイツからの難民。
テオ:ギムナジウムの生徒。委員長。
フィリップ・グロス:歴史教師。48歳。やもめ。
マチアス:ギムナジウムの生徒。足が少し悪い。
ロビン・カー:ミュンヘンから来た転校生。イギリス人。
リース・ディーテール:キリアンを引き取った家の娘。
ファンニー・ディーテール:リースの妹。
あらすじ
1959年3月、ドイツにあるガブリエル・スイス・ギムナジウム(高等学校)4年のクラスにイギリスから2人の転校生がやって来る。エドガーとアランだ。二人は同級生たちに強い印象を残す。その中でキリアンという少年が二人に興味を示し、何かと世話を焼こうとする。エドガーはそんな彼を警戒しながら、少しずつクラスメートになじんでいく。
学校は5月の創立記念祭の準備に入った。劇やダンス、詩の朗読や合唱といった出し物のほか、屋台が出たりといったお祭りだ。生徒たちはダンスのレッスンや劇の練習を始める。
歴史教師のグロフ先生はいつも懐中時計を見て5分前に授業を終わらせる。その懐中時計の中の女の子の写真がメリーベルに似ていることに気付いたアランは、その時計を盗み出す。それが元でクラスメートの間に少しずつ不協和音が起き始めるのだった。
エドガーとアランが学校に来たのは、何か目的があるようだが、それはいったい何なのか。そして、「魔の五月」とは…?
コメント
「ポーの一族」シリーズの中でも最も人気の高い、よく知られている作品です。エドガーとアランが普通の少年のようなふりをして生徒たちの中に紛れ込む。彼らの目的は何か、ロビンを殺したのは誰か?ミステリー仕立てな面もあり、そして多くの要素が盛り込まれた贅沢な作品です。
ドイツの「ギムナジウム」という設定は先生の中でいつわき上がったものなのでしょうか。1971年発表の「11月のギムナジウム」ですでに作品化し、「トーマの心臓」の原型は出来ていたわけですから、そこから一つ「ポー」に拝借した感じなのでしょうか。
「ギムナジウム」という存在をおそらく先生はずっと若い頃から知ってらしたと思われます。福岡時代に読書家だった先生がヘッセも読まれていたことはインタビュー等から伺われますし、トーマの心臓」のインスピレーションを得た映画「悲しみの天使」は(舞台はフランスの寄宿舎ですが)1965年に公開されているので、ロードショーでご覧になった可能性もあります。ギムナジウムを舞台にすることで「閉ざされた空間での人間関係」を繊細な心理描写とともに描き出すことに成功されたのだと思います。
そして、これまでどちらかというと古めかしい歴史の舞台の中で展開されていた「ポーの一族」に一気に現代性を付与した作品として画期的でした。東西ドイツの分断という時事的な要素も入ってきて、エドガーが現代に生きているということが、実感として感じられるようになって来ました。
マチアスがアランに恋をする、というシーンも当時としては衝撃的だったはずです。プラトニックなものですが、アランはそれを当然のように受け止めているところにまた驚かされました。自分の小悪魔性に酔っている、男の子が!と思ったものです。
「ポーの一族」シリーズにしばし登場する“マザー・グース”ですが、少女漫画でこれほど全面にマザーグースを打ち出した作品は、それまでなかったように思います。イギリスには古くからの童謡があり、それがとても不思議な詩であることを少女たちに教えてくれました。このお話では"We will go to the wood, says Robin to Bobbin" 「誰がクックロビンを殺したか?」が重要な役割を果たしています。

2010.4.28

収録書籍
ポーの一族 第3巻(フラワー・コミックス3)

ポーの一族 3 フラワーコミックス 小学館 1974.7

萩尾望都作品集 第8巻 ポーの一族 3

萩尾望都作品集 8 ポーの一族 3 小学館 1978.10

ポーの一族 第2巻

ポーの一族 第2巻 小学館叢書 1988.8

ポーの一族 第3巻

ポーの一族 第3巻 小学館文庫 1998.8.10

パーフェクトセレクション1

Perfect Selection 6 ポーの一族 I 小学館 2007.11

メリーベルと銀のばら

キャベツ畑の遺産相続人