作品目録

11月のギムナジウム

 

初出誌
「別冊少女コミック」1971年11月号(1971.11.1) p229~273(45p)
あらすじ
11月の第一火曜日、転校生エーリクがヒュールリン・ギムナジウムへやってくる。エーリクは家庭不和から素行不良で前の学校を退学になってしまい、全寮制の学校に放り込まれたのだ。
学校にはエーリクとそっくりなトーマという少年がいた。ストレートな金髪と水色の目をもったトーマは学校のアイドルで、逢った瞬間トーマは笑いだし、エーリクは怒ってトーマをひっぱたく。それがトーマをお気に入りのオスカーの耳に入り、エーリクはオスカーからちょっとした歓迎を受けることになる。
週末になり、生徒たちは家に帰っていくが、エーリクは帰らず学校に残る。トーマの家は両親と年の離れた姉が4人もいる。トーマは学校には転校生が来て、友達になれそうだと語る。
オスカーはエーリクが休日に学校に帰らないことに気づき、家庭に問題があるだろうと察してエーリクにかまをかけてみる。それが図星だったエーリクはオスカーを殴って教室を飛び出してしまう。
エーリクは学校の外の草地でエスケープ中のトーマと出会う。トーマは自分には15歳離れている、もう死んだ兄がいて、彼の写真を見ると茶色の巻き毛でエーリクとそっくりだと語る。友達になろうと提案するトーマにエーリクは・・・。
コメント
さて「トーマの心臓」の元となった物語です。登場人物はエーリク・ニーリッツ(→フリューリンク)、トーマ・シューベル、オスカー・ライザー、フリーデル委員長(ユリスモール・バイハン)と一通り揃いました。
登場人物、エーリクとトーマがうりふたつだという点、ギムナジウムという舞台設定が「トーマの心臓」と同じですが、それ以外は全く別の物語と言っていいでしょう。
ここで続いてきた「ふたご」というモティーフは一つの頂点を迎えます。今回、生き別れたふたごが出会った時、一人は消えなければならない運命にありました。
大人たちの作った秘密に押しつぶされたトーマは、エーリクの母親(つまり自分の産みの母親)にエーリクのふりをして逢いに行ったために、風邪をこじらせて死んでしまいます。結局は両親のつくった罪によって殺されてしまったような、そんな印象をもちました。
収録書籍
11月のギムナジウム―ロマン短編集

11月のギムナジウム―ロマン短編集 小学館文庫 1976.4

萩尾望都作品集 第4巻 セーラ・ヒルの聖夜

萩尾望都作品集 4 セーラ・ヒルの聖夜 小学館 1977.5

11月のギムナジウム

11月のギムナジウム 小学館文庫(新版) 1995.12

萩尾望都パーフェクトセレクション2 トーマの心臓II

Perfect Selection 2 トーマの心臓II 小学館 2007.7.31

入手しやすい本作品収録の単行本 11月のギムナジウム

11月のギムナジウム 小学館文庫(新版) 1995.12

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参考情報
翻訳:フランス語
Moto Hagio : Anthologie

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白き森白き少年の笛