作品目録

完全犯罪〈フェアリー〉

 

初出誌
「プチフラワー」1988年2月号~4月号 200p
第1回:1988年2月号(1988.2.1) p9~108(100p)
第2回:1988年3月号(1988.3.1) p3~52(50p)
第3回:1988年4月号(1988.4.1) p5~54(50p)
登場人物
河合類(ルイ):ダンサーの卵。
妖子(ヨーコ):ダンサーの卵。
小香賀一人:ジャンキーズプロのマネージャー。「GOLD」のプロデューサー。
千舞花夜子:ジャンキーズプロ所属の女優。
七曲光介:ジャンキーズプロ所属の男優。「GOLD」の主役。
亜子:苦節10年のダンサー。
美奈(ミーナ):一人の恋人。
小香賀小次郎:東友の重役。一人の叔父。
小香賀征子:小次郎の一人娘。
鴨居/鍋島:麻布警察の刑事
あらすじ
東友ミュージカル「GOLD」のヒロインに決まったばかりの花夜子から主役の光介に電話があった。光介の付き人でダンサーの卵のルイがそれを受け取ると「手首を切った」と告げられる。警察に通報し、あわててタクシーでかけつけると、花夜子が手首を切って死んでいたが、なぜか頭から血を流し、頭の上には花がおいてあった。ちょうどそこへジャンキーズプロのマネージャーの一人がやって来た。
花夜子の自殺はスキャンダルとなり、恋人だった光介もマスコミから騒がれる。イライラした光介とルイはケンカをしてしまい、「GOLD」のモブもおろされてしまう。部屋を追い出されたルイは仕方なく一人の元へ身を寄せる。
原宿でパフォーマンスをしていたルイはヨーコと名乗る少女に出会い、ダンススタジオに誘う。ヨーコがやって来たスタジオに驚くべきニュースが入る。花夜子の自殺でケチがついた「GOLD」のキャストを一新するため、ルイと亜子が主役だと一人が告げる。一人が「GOLD」のプロデューサーに抜擢されたのだ。
一人がルイの部屋を用意してくれたが、そこへ家出少女だというヨーコを誘う。ダンスのレッスンに励むルイだが、ある日警察が訪ねて来る。花夜子の身元がわからないためだ。ルイが電話をうけた相手は本当に花夜子だったのかと聞かれる。殺された可能性があるというのだ。自分が疑われているようで、怒って酒を飲みに行くと、そのお店のママが教えてくれる。花夜子は最近七年前に別れた恋人と出会ったと言う。
果たして花夜子は自殺だったのか、殺されたのか。不審に思うルイは花夜子のことを調べ始める…
コメント
ミステリーなミュージカルと言えばいいでしょうか。萩尾先生が甲斐よしひろ氏の30曲を使ってストーリーを構成したものです。プチフラワーコミックスのときに一度対談が、そして小学館文庫になった折りにも対談が行われ、収録されています。それを読むと発表当時、萩尾先生ではなくもともとは城マネージャーが甲斐よしひろ氏の熱心なファンで、いつもお部屋でレコードをかけていたことがきっかけだったとのことです。
作品は複雑な人間ドラマとダンスが絡んだミステリーですが、、相変わらず細部まできちんと描かれていて、さすがだなと思います。ルイやヨーコの純情と、過去の一人と紅子、それから光介の純情。ベースにあるのは、若い頃の純粋な恋です。作品全体はとても甲斐よしひろらしい物語に仕上がっています。
この作品はダンスが中心ですが、ここから先クラシック・バレエのシリーズが開始されます。1980年代は少女漫画界でバレエ、ダンス漫画が多く発表され、槇村さとる、有吉京子らが書かれていましたが、山岸凉子はすでにバレエを離れ古代に走ってました。でも、萩尾先生は同世代の山岸凉子の作品を見ていたはずなので、いつかはバレエ漫画を描かれるつもりだったのかもしれないなと思いました。

2010.7.15

収録書籍
完全犯罪(フェアリー)【(プチフラワーコミックス31)】

完全犯罪 フェアリー プチフラワーコミックス 小学館 1988.11

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完全犯罪 フェアリー 小学館文庫(新版) 2000.11.10

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