作品目録

X+Y

 

初出誌
「プチフラワー」1984年7月号~8月号
前編:1984年7月号(1984.7.1) p7~56(50p)
後編:1984年8月号(1984.8.1) 349~398(50p)
受賞
第16回(1985年)星雲賞コミック部門受賞
登場人物
モリ:養成中のESP。火星ソリス市に住む
タクト:一角獣種の少年。「アレルギー・カルチャー」の一員。7歳以前の記憶がない
メリメ:ザースのいとこ。タクトと結婚して有名人の妻になりたがっている
ザース:タクトの友人「アレルギー・カルチャー」の一員
ジョージ:医師。ムーンサルト博士から7歳のタクトを預けられて以来面倒を見ている
アンアン:医師。ジョージの妻
ロマン:タクトの友人「アレルギー・カルチャー」の一員
ライト・ムーンサルト博士:タクトの父。トロヤ群に住む
マーブル :ムーンサルト博士の同棲相手
モロゾフ博士:モリの保護者
あらすじ
建設80周年記念の火星改造計画案「カナル・プラン」が募集され、この改造計画採用のための学会が火星でおこなわれることになった。地球からの参加したチーム「アレルギー・カルチャー」の中に一角獣種のタクトがいた。ところが、火星ヘ出発する前の検査でタクトの性遺伝子はXX(ダブルエックス)であることがわかった。タクトを育てたジョージ博士はタクトを父親のムーンサルト博士のところへ連れて行くよう、妻のアンアンを火星に同行させる。
火星に着いた一行はカイトレースに出場したモリと会う。次の日、学会で 「アレルギー・カルチャー」のタコ計画が発表されるが、会場は相転移ゲルによって大混乱になってしまう。会場をのがれたモリとタクトが共鳴をおこすことがわかった。
学術会議は続くが、タイタン代表の提案で土星で水の移送実験を行うことになって、土星へ「アレルギー・カルチャー」にモリは同行して実験を手伝うことになった彼らの計画の実現には強力なESPが必要であった。土星ミマスからGリングへ、モリとタクトがスクーターで移動中にリングを構成する雪のかたまりに接触して遭難してしまった。
モリは無事救出されるが、タクトの行方はわからない。モリは必死で救出に向かうが…。
コメント
このタクトという人物、アスペルガーっぽいなぁと今読むと思います。発表当時は今ほど知られていた障害ではないので、多分意図的なものではなかったと思いますし、私も最初に読んだときはおもしろなと感じただけなのですが。言われたことばをその通りにしか受け止められず、裏の意図などを読めないところが特に。ですが、言葉が今ひとつ通じないながら、心は通いあった結末だったので、それはとても暖かい気持ちになれました。

2011.10.28

収録書籍
萩尾望都作品集・第二期 第17巻 A-A’

萩尾望都作品集・第2期 17 A-A’ 小学館 1984.11

A-A’―SF傑作選


A-A’―SF傑作選 小学館叢書 1995.9

A-A'


A-A' 小学館文庫 2003.9.10

投稿
ここで登場する「モリ」は「4/4 カルトカース」から数年後のモリです。
個体として成長したのちに男性が女性化するのは「11人いる!」 から続くバリエーションです。タイトルのXとYですが性染色体を示しているのでしょうか。個体の表現形と遺伝子レベルの性とは必ずしも一致しないので、単純に表現形が女性化しても出産できないと思いますが、遺伝子レベルが♀で表現形が♂であれば 出産は可能ですね.萩尾先生の小道具としての性の使い方は安心して見ていられます。
それに比べて、最近の「ミトコンドリアイブ」に代表される 遺伝子主導の生物ネタ作品はどうも違和感を私は感じてしまいます。この作品に「ゲルの相転移」がでてきますがこの作品発表の時期はほとんど一般には知られてなくて、珍しい現象として『サイエンス』のような科学啓蒙雑誌に一般紹介されたのはずっと後でした。
なぜこの作家はこんなことまで小道具にしてしまうのだと驚いたのを思い出しました。

1998.4.14 ひで

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