作品目録

月蝕

 

初出誌
「バンピレラ」2号 スターログ別冊 1980.1.15(1979.12発売) p147~158(12p)
あらすじ
少女はある日、森で金色の毛の狼に会った。少女は無垢だったので、狼を恐れなかった。
狼は森の王者だった。石造りの城には若い城主が住んでいた。狼はこの城で城主に育てられ、彼を敬愛していた。獲物をとらえてきては城主に捧げており、城主の方もその獲物を壁にコレクションして飾っていた。
金毛の狼は少女を愛し、彼女が川に流されたときは森の風と鳥から知らせが入り、彼女を救った。城主のところへ少女を連れて行くと、二人は恋に落ち、婚約した。これまで狼は獲物を城主のためにとらえてきたが、あの少女は違う。狼は城主を殺し、そのマントをはいで花婿に化けた。
すっかり人間となった狼と奥方の間に子どもができた。不安を覚えた狼は森の闇や月や魔界に「人間の子どもが欲しい、力を貸してくれ」と頼み、魔力を集めて人間の子になるようそれらも力を尽くしたが…
コメント
初出の『バンピレラ(VAMPIRELLA)』は『スターログ』というSF雑誌の別冊として日本では1979~80年に数冊刊行されました。元々はアメリカンコミックの作品名・キャラクター(Vampirella)なのですが、雑誌としては日米のSF、ファンタジー、怪奇などのコミックを収録しています。アメコミがメインなので日本人の作品も入っていますが、わずかです。
雑誌がアメコミのため、左開きになっていまして、小学館叢書「ポーの一族3」に収録されたときは、右開きになっていました。2010年の「別冊文藝」では一番最後のページから左開きで収録されています。編集者のこだわりを感じます。
ベタ塗りのページの多い、アメコミらしい作品に意図的に仕上げられたようです。森の中の闇の力を感じます。昔は月蝕は不吉の前兆と言われていましたが、死霊が月をよぎると思われたからであると、この作品では位置づけられています。

2010.5.20

収録書籍
ポーの一族 第3巻

ポーの一族 第3巻 小学館叢書 1988.7

別冊文藝 萩尾望都

別冊文藝 萩尾望都 河出書房新社 2010.5.30

10月の少女たち

10月の少女たち 小学館文庫 2012.10.18

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