作品目録

水玉

シリーズ・ここではないどこか 第16話

初出誌
「flowers」2010年2月号(2010.2.1) p179~192(24p)
登場人物
浦島舞:大学生
天草夜羽根:舞の憧れの人。同じ大学の学生
川寺松男:舞と同じゼミの学生
あらすじ
「海の青」の続編。夜羽根に告白してから、舞は毎日「僕のこと好き?」と夜羽根に聞かれて恥ずかしい。もちろん毎日好きなのだが、みんなの前で「自分のファン」だと公言し、ペット扱いする夜羽根に空手チョップを食らわせて「嫌い」と言ってしまう。夜羽根に何を期待しているのか悩む舞は夜羽根の幼なじみの川寺に相談する。
夜羽根にとって女の子は女王様とその他大勢だと言われた舞は、彼は王子様だから仕方がないと思い悩む。落ち込んだ舞は部屋の青いカーテンでも変えれば気分が変わるかと思い、布地を探しに行こうとする。そこへ夜羽根が日暮里に一緒に行こうと言い出して…
コメント
一見少女漫画の王道らしい片思いの物語の中に、非常に詩的なシーンが入り込んで来て、すてきなお話だと思います。こういう萩尾先生のほわ~っとした感じの作品が私は好きです。いろいろ好きですが、特にこの手の作品に弱いようです。例えば「柳の木」は名作だと思いますが、好きなのは「海の青」やこの作品だったりします。
夜羽根はなかなか研究材料としてはおもしろい人物です。男の天然って、こういう人のことを言うのでしょうけれど、実際のところ夜羽根も結構舞の気持ちの本質を見抜いていて、「イリュージョン」と言ってしまうあたり、なかなか食えないやつだなと思います。その一方で、意外と自信がないんだろうなとも思うのです。軽く見られてしまう男の悲劇というか、おそらく彼の周辺の女性陣は彼に対してお友達扱いから出ないのでしょう。
また、彼は編み物の好きないわゆる草食系男子というやつでしょうか。ビーズの世界にも実はそういう男性いそうですから、その辺が参考になっているのでしょうか?興味深い人物です。
前回、「海の青」で象徴的に使われていた青が、今回は陰のイメージに変化し、そこに白が組み合わされて、また美しくなるという、なんだか「色」を効果的に使っていくシリーズになるような予感があります。いずれにせよ、絶対に続編が読みたいですね。

2009.12.28

収録書籍
春の小川

春の小川(フラワーズコミックス) 小学館 2011.3.15

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