作品目録

金曜の夜の集会

 

初出誌
「SFマガジン」1980年11月臨時増刊号(1980.11.15) p281~312(32p)
登場人物
マーモ:主人公の少年。
セイラ:マーモの好きなクラスメート。
ダッグ:マーモの親友。
ソーフィヤ:マーモの姉。
マーモの両親
ダッグの母親
ウオルシュの奥さん:はしかでなくなった子供を捜している
ゴダじいさん:ジプシーで占いをしている。
チビ:マーモやダッグのともだち。
あらすじ
8月最後の金曜日、マーモはジンジャーの香りで目が覚める。今日はローエル・ポーエル衛星というほうき星がやってくるので、天文クラブのみんなで学校の天体望遠鏡を見に行く予定だ。ところが、先生が今夜は急用で天体クラブを開けないと言う。
がっかりしたマーモはダッグの家につれて行かれる。すると、ダッグに大きな天体望遠鏡を見せられる。ダッグの父親は去年の秋に蒸発したが、ダッグには母親にかくれてこっそり会っていて、買ってくれたのだ。マーモとダッグは城跡に行ってこの天体望遠鏡でほうき星を見ることにする。
マーモは以前から好きだったセイラを映画に誘うが、今夜は両親が町内会に出かけるため留守番しなくてはならないのでダメだと断られる。でも来週の金曜なら大丈夫と言われて、有頂天。家に帰って夕食を食べると、マーモの両親も出かけるので留守番をするよう言われる。
ダッグがやって来るが、マーモは家から出られない。ダッグの母親も出かけたきり帰らない。近所にはおとなはみんな出かけてしまい、子供しか残っていないようだ。そういえば先生も用事があると言っていた。今夜何が起こるのか?ダッグとマーモは大人たちを捜しに出かけるが…
コメント
『SFマガジン』に発表された、平和なアメリカの田舎町が舞台のSF短編です。この町は8月の最後の週の金曜日に消滅してしまうのですが、マーモの姉の力を借りて1年前に戻ることができます。だから長い間、その1年間をずっと繰り返す、未来のない世界です。記憶さえなければ、またあらたな気持ちで、その1年を過ごすことが出来ますが、少しずつ違う1年となっています。
セイラと一緒に映画を見に行く金曜は来ず、自分が中学生になることもなく、天文学者になることも出来ない。未来がない自分たちの存在は幻であることに気づき、逃れようとセイラを誘い出すところで、0時になってしまいます。
こういった「時間の繰り返し」のお話はSFでは時折使われるのでしょうけれど、切ないお話だなと思います。

2010.7.1

収録書籍
A-A’―SF傑作選


A-A’―SF傑作選 小学館叢書 1995.9

半神


半神 小学館文庫(新版) 1996.9

珠玉の名作アンソロジー 4 99万粒の涙

珠玉の名作アンソロジー 4 99万粒の涙 小学館文庫 2010.8.12

入手しやすい本作品収録の単行本 半神 小学館文庫(新版)

半神 小学館文庫(新版) 1996.9

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