ホーム > 単行本 > 絵本・イラスト集 > 水の手紙
絵本・イラスト集
水の手紙―群読のために
文 | 井上ひさし |
画 | 萩尾望都 |
出版社 | 平凡社 |
初版発行 | 2013.3.25 |
定価 | 1200円 |
ISBN | 978-4-582-83579-3 |
目次
1 わたしたちは水 | | p9~15 |
2 湖が消えた | ウズベキスタン | p16~21 |
3 川が消えた | コロラド川・黄河 | p22~26 |
4 地面も沈む | メキシコシティ | p27~29 |
5 島が沈む | モルジブ | p30~34 |
6 水はめぐる | ベネチア | p35~39 |
7 遠い井戸 | チャド | p40~44 |
8 バラを枯らす井戸 | フランス、パリ | p45~48 |
9 水争い | チグリス川、ユーフラテス川 | p49~53 |
10 水が出た | アフガニスタン | p54~57 |
11 宇宙飛行士 | | p58~62 |
12 わたしは水です | | p63~68 |
巻末エッセイ やまがた水宣言(井上ひさし) | p70~71 |
巻末エッセイ 水を巡って(萩尾望都) | p72~75 |
初出一覧・付記 | p76 |
絵の一覧
表紙カバー |
扉絵 |
目次の見開きイラスト(地図上にイラスト) |
海、魚、生命、地球、植物の水のイメージ | p13 |
ウズベキスタンの地図と小さくなっていくアラル海の図説 | p19 |
コロラド川と黄河のダムの図説 | p23 |
地盤沈下によるメキシコシティ崩壊のイメージ | p29 |
モルジブの島々と海のイメージ | p31 |
ベネチアの仮面舞踏会のイメージ | p35 |
井戸から水を運ぶ子供たち | p41 |
窓辺においた植物が枯れている。それを見る女の子 | p47 |
ユーフラテス川流域のトルコ、シリア、イラクの戦争のイメージ | p51 |
アフガニスタンの井戸 | p55 |
地球 | p61 |
水のイメージ | p65 |
※各章の冒頭に切手風のイラストを添えている |
- 本書は井上ひさし氏が2003年に開催された「第18回国民文化祭やまがた2003」の総合フェスティバルのプロデューサーをつとめた際に基調講演の代わりにというお題目で初演された戯曲です。水の大切さを訴える世界からの手紙を、大勢の役者が唱和しながら語る群読劇です。2010年にこまつ座でも上演されました。
- 戯曲は『すばる』2003年12月号に掲載され、「井上ひさし全芝居その7」(2010年12月)に収録されました。今回単独の作品で刊行されたのは、3月22日が国連の「世界水の日」であることも要因だと思います。
- この戯曲はとても短いものですので、本としてはイラストとともに成立するということで、萩尾先生の絵が入ったのかと想像しています。また小学4年生以上で習う漢字にはルビをつけています。ということは、小学校高学年以上から学校教育における劇で使うことを想定しているのです。内容も世界中で起こっている水にまつわる由々しい事態を語り、「地球の水資源を考える」ことにとても直接的なメッセージをもっています。
- 萩尾先生はカバーイラスト、扉を初め、内容に添った形でイラストを多数描き下ろされています。美しいカラー・イラスト、イメージを喚起させるモノクロイラストのほか、学習漫画のような図説のイラストも入っています。
- カバーイラストは水色で水の柔らかさを表現されていて、本当に美しい。萩尾先生お得意の水彩の色が強い絵です。扉絵も同じシリーズで、『朝日新聞』2013年3月22日の夕刊にほぼ1面を使って広告をうっています。本の広告というよりは「世界水の日」の広告でした。本文挿絵の中にもイメージが喚起されるようなものも入っています。
- 戯曲はあまり売れるジャンルではないそうですが、これは萩尾ファンなら絶対にお手にとって下さい。素晴らしい本です。
水の手紙
銀の船と青い海(文庫)