作品目録

あそび玉

 

初出誌
「別冊少女コミック」1972年1月号 p381~411(31p)
あらすじ
ティモシーの学校で流行っているのは“あそび玉”というビー玉のようなガラス玉を一つはじき、その先に円を描いて置いてある九つの玉にいくつあてられるかという遊び。ティモシーは19回連続でストライクをとり、級友に驚かれる。
家に帰り何度か試すうち、ティモシーは自分の意志であそび玉を動かせることに気付く。母親にそれを見とがめられひどく叱られるが、ティモシーには何故そんなにいけないことなのか、わからない。
学校で級友に遊び玉を動かしてみせると、級友は驚くが教師は意に介さない様子だったが、ティモシーらが帰った後、教師はどこかへ連絡する。「超能力者がいる」と。
そんなティモシーの話を聞いた上級生が現れ、あそび玉を動かしてみろと言われてティモシーは彼のサングラスを割ってみせる。その上級生のクラスに同じことをした者がいたが、病院に連れていかれ1ケ月後に亡くなったと聞かされる。
家に帰ると昼間から父親がいて、見知らぬ客が来ている。翌日熱を出したティモシーは母親の様子がおかしいことに気付いて不安になり、部屋を逃げ出す。
ティモシーは自分がこの先どうなるのか、おびえるが…。
コメント
幻の名作と長い間言われ続けた初期SF作品です。雑誌掲載後原稿が紛失し、何年か後「SFマンガ競作大全集」に掲載するため活版のゲラ刷りから版下をおこしたのですが、にじみやかすれ、しみなどがひどかったこと。「II期作品集」で初めて単行本に掲載されたが、際限のないホワイト地獄だったという話が「“あそび玉”についてのエピソード」に載っています。
この作品はそのまま「地球(テラ)へ…」のオープニングではないかと言う見解が萩尾ファンの間では定説になっています。もちろん「地球へ…」の方が後です。こちらでは超能力者と普通人には平和的な解決がされているのですが、「地球へ…」ではその戦いが始まっていくことになります。
ここでもっとも注目すべきはシステムが異端者を排斥するという点です。大人が子供に隠している歴史があることの恐ろしさもあるでしょう。
萩尾先生にはSF作品としてはこの前に「精霊狩り」等がありますが、本格的という点では実はこの作品が出発点ではないかと思います。というよりは、SFを描く少女マンガの最初のものと言えるかもしれません。「あそび玉によって少女マンガはSFというジャンルを、そのフトコロにおさめた」(花郁悠紀子談)」と言えるほどのエポックメイキングな作品でした。
収録書籍
少年/少女SFマンガ競作大全集5 東京三世社

少年/少女SFマンガ競作大全集5 東京三世社 1980.4.1

萩尾望都作品集・第二期 第9巻 半神

萩尾望都作品集・第二期 9 半神 小学館 1985.3

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