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- 初出誌
- 「週刊モーニング」2018年第6号(2018年1月25日号/2018.1.11発売) p119~142(24p)
- 登場人物
-
父
兄
妹(夕輝)
- あらすじ
- 一人の青年が橋のたもとのバス停から草むらを歩いて行く。彼の行き先は古い家だ。どうやら人の住んでいない廃屋になっているようだ。彼がここに来た目的は…。
- コメント
- 青年漫画の週刊誌としてはもっとも売れている講談社『週刊モーニング』に初めて登場しました。一昨年、『アフタヌーン』に「寄生獣」のトリビュート作品を発表しているので唐突ではありません。
- 2011年3月11日に起きた東日本大震災からもうすぐ7年になろうというこの時、萩尾先生の中からは決して消えないものがあるのだなと思いました。現代日本を描くとき、結局ここへ行き着くのかと思うと、震災以前に描いていた一連の短編の続きを止め、「なのはな」から一貫して震災をテーマとした作品を描かれています。SFや歴史は別ですが、現代のリアルを描くときに原発の問題からは離れられないという悲壮な覚悟が感じられます。
- この家が何故廃屋になったのか、言葉からすぐにわかります。その方言がまたいい。彼が何を埋めているのか、お父さんが誰か、読者にはすぐわかります。それでも、こんなにも胸に迫るものがあります。これが物語を描く力なんだなぁと。震災を離れても「故郷を捨てた息子」と「故郷に残る父」の普遍的な物語として読むこともできます。
- 静かに、心に染み入る作品です。
2018.1.12
春の夢