作品目録

ばらの花びん

 

初出誌
「プチフラワー」1985年2月号~3月号
前編:1985年2月号(1985.2.1) p5~38(34p)
後編:1985年3月号(1985.3.1) p171~204(34p)
登場人物
ミシェル・ルナン
マルスラン(マルス):ミシェルの友人。
ファデット:若い未亡人。
セザンヌ・ルナン:ミシェルの姉
マックス・メイヤーベン:ファデットの死んだ夫
ポルト:マックス・メイヤーベンの息子
あらすじ
世紀末パリ。ミシェルは生まれてすぐに母を亡くし、10歳年上の姉のセザンヌが彼を育てていた。ルナン家には祖母の代から伝わった花びんがあり、ミシェルがそこに描かれていた貴公子にそっくりに育ったので、セザンヌはその花びんを大切にしている。マルスは何度も譲って欲しいと頼むが、セザンヌは首を縦にふらない。
そんなミシェルもお年頃になり、ベラ夫人のパーティで出会ったファデットという未亡人に恋をする。エッフェル塔を案内したり、花を贈ったり、遊び人のマルスのアドバイスに従って、ファデットを口説こうとするミシェル。セザンヌはこれまで恋も結婚もせずに弟に尽くして来たので、そんなミシェルが気が気でない。
ミシェルの元に「ファデットから手をひけ」という手紙が届く。セザンヌがミシェルのために、とファデットをミシェルの誕生日に招待した。ところが、ミシェルの前に死んだはずのファデットの夫が生きて現れた。ミシェルはショックを受けて大切なばらの花びんを割ってしまう…。
コメント
世紀末パリのファッションが美しい、ラブコメディ。ファデットの髪型や帽子が特徴的です。「作品集」ではカラーページが入っていて、とても美しいです。あちらこちらにバラが飛んでいます。
お話の方でよくわからないのが、マルスです。遊び人だからこそ、貞淑なセザンヌを誠実に思い続けていたいい奴だと思って読んでいたのですが、最後はなんでしょう?彼は本当はミシェルを愛していたから、セザンヌが好きだと思いこもうとしていたのでしょうか?「死ぬ」と思って本音が出たのでしょうか?
ところで「作品集」で「世紀末のロンドンを舞台に…」と書かれてあったのですが、どう見てもこれはパリです。エッフェル塔が出てくるし、みな名前がフランス人です。

2010.7.6

収録書籍
萩尾望都作品集・第二期 第5巻 ばらの花びん

萩尾望都作品集・第2期 5 ばらの花びん 小学館 1985.10

ゴールデンライラック

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