作品目録

赤ッ毛のいとこ

 

初出誌
「月刊セブンティーン」1975年11月号~1976年8月号 46p
①:1975年11月号(1975.11.1) p270~273(4p)
②:1975年12月号(1975.12.1) p248~251(4p)
③:1976年1月号(1976.1.1) p268~271(4p)
④:1976年2月号(1976.2.1) p214~217(4p)
⑤:1976年3月号(1976.3.1) p214~217(4p)
⑥:1976年4月号(1976.4.1) p212~215(4p)
⑦:1976年5月号(1976.5.1) p212~215(4p)
⑧:1976年6月号(1976.6.1) p246~251(6p)
⑨:1976年7月号(1976.7.1) p262~267(6p)
⑩:1976年8月号(1976.8.1) p242~247(6p)
登場人物
茨木まり:女子高生。おとなしい性格で文学少女で、常に理想的な恋愛を求めている。
野辺家のえる:まりと同級の、野辺家の一人娘。母から習っている三味線で「クィーン」を シャウトしてしまうお転婆娘。自由闊達でからっとした性格。おせっかいではないが、あねご肌で、困っている友達をほっておかないのだが、それで必ずしも事態が好転するわけではない。
野辺家の両親まりもをのえると同じようにあたたかく包んでくれる。
沖村:スポーツ万能、成績優秀の生徒会長。まりが初めて好きになった相手だが、女性と付き合うと、本能の歯止めがきかなくなる。
ウド(大木):柔道部のキャプテン、たくましさと純真素朴さが取り得。だが気が小さいためまりに直接アプローチできず、のえるを頼りにしている。
ツワブキヒロシ:自称母性本能をくすぐるのが得意。マンガ好きで、放浪癖がある。はじめまりにひかれているが…
あらすじ
まりは両親の海外出張のため、父の弟の野辺家に世話になることになった。野辺家に初めてれる途中、赤毛で英語がペラペラの男の子に出会った。ところがそれが実はいとこの少女のえるだった。行動的な性格ののえるは内向的なまりの背中を押して、理想の彼氏探しを手伝うのだが、常にまりの高い理想にかなわず、失敗が続く。しかし、相手の男子の方は簡単にあきらめず、のえるに頼って、まりに次々とアタックするのだが、そのことがドタバタの騒動をまきおこす…という学園ラブコメ。
コメント
少女マンガ王道の学園もの。萩尾先生の作品には「3月うさぎが集団で」などわずかにあります。テンポがよいので、たいへん楽しく読むことができます。ちゃんとしんみりするところもまた良いです。
絶版の本にしか収録されていませんので、なかなか手にとる機会はないかもしれませんが、作品全集は古書店で時折みかけますので、一度読んでみてください。この髪の赤い少女のえるがアメリカン・パイのリューの造形としては原型のように感じました。

2011.10.26

収録書籍
萩尾望都作品集 第17巻 アメリカン・パイ

萩尾望都作品集 17 アメリカン・パイ 小学館 1977.10

赤ッ毛のいとこ―珠玉傑作集

赤ッ毛のいとこ―珠玉傑作集 小学館文庫 719 1984.12

10月の少女たち

10月の少女たち 小学館文庫 2012.10.18

投稿
現代の日本を舞台にしている萩尾作品は数少なく、少女漫画の一方の王道である「青春ラブコメ」はさらに少ない中での貴重な作品。のえるの全く型破りな性格(でもすごく友達思いなんだ)、そしてその友人達もまたみんな型破り。お察しの通り、日常の何気ない出来事もとんでもないことになってしまう。内容の軽さ、短さで萩尾作品中であまり目立たないポジション。でも私は大好き。ドタバタの中にも青春の切なさがしんみりと漂っている。(最後で沖村とツワブキが酒を酌み交わしながら恋の行く末についてぼやいているシーンなんかたまりません)また、「がきデカ」、などのパワーあふれる少年ギャグ漫画を萩尾先生も楽しんでいるんだなあとうれしくなる。女性の同性のコンビとして、「のえる」と「まり」は数多い萩尾キャラの中でも卓抜では?

2004.5.7 へびいちごさん

入手しやすい本作品収録の単行本 10月の少女たち

10月の少女たち 小学館文庫 2012.10.18

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