2013年6月

『季刊エス』漫画家使用画材アンケートの萩尾先生の回答

季刊エス 2013年7月号2013年6月15日に発売された『季刊エス』10周年特別企画の"漫画家使用画材アンケート"に萩尾先生も回答されています。質問と回答は以下の通りです。

1.原稿用紙(用紙の種類とメーカー)
 →ICマンガ原稿用紙135kg

2.人物に使うメインのペン
 →日光Gペン、copic PIGMAなどの水性ペン、ペン軸は木製の軽いもの

3.背景に使うペン
 →ゼブラ丸ペン、copic PIGMAなどの水性ペン

4.そのほかの場所を描くとき使用するペン
 →ゼブラ丸ペン、日光丸ペン、copic PIGMAなどの水性ペン

5.インク
 →開明墨汁

6.ベタ塗りに使うもの
 →あかしや新毛筆、ゼブラ筆ペン小筆、奈良佐保川という名の筆

7.よく使うトーン
 →スクリーントーン No.81、1212

8.表紙・扉など、カラーを描くときの画材
 →ドイツのどこかのパステル、ミツワのマスキングインク、三菱の色えんぴつ、ホルベインの絵具、ルマのカラーインク、ドクターマーチンのインク、ホワイト

9.原稿を描くとき、上記以外に必要なものは?
 →ホワイトはミスノンW-20、えんぴつはHiUNIのB、トンボの赤青、ねり消しゴム、MONOトンボ消しゴム、紅酢、黒にんにく、しょうが

10.作画時におこなう、ひと工夫があれば教えてください。
 →ペアルーペ、ITOKI-カシコチェア、MITSUBISHIアイメイト(ライト)

11.現在のお仕事の近況をお教え下さい。
 →フラワーズでSF物「AWAY」シリーズ、YOUで歴史物「王妃マルゴ」


先生、9番の紅酢はカタログハウスのこれでしょうか →紅麹百年酢


季刊エスでメイキング特集、115名に使用画材をアンケート(コミックナタリー)

2013.06.19 14:14 | 雑誌掲載情報

珠玉の名作アンソロジー 5 どこかにある猫の国

どこかにある猫の国2013年6月15日に発売された小学館文庫「珠玉の名作アンソロジー 5 どこかにある猫の国」に萩尾先生の「レオくん お外に出して」が収録されています。

「珠玉の名作アンソロジー 5 どこかにある猫の国」
小学館 2013.6.20 667円(小学館文庫)
ISBN978-4-09-191160-5

■収録作品
波津彬子「灰色の貴婦人(レディ)」
岩館真理子「夕暮れバス」
萩尾望都「レオくん お外に出して」
奈々巻かなこ「港町猫町 ルーディのキス」
奈知未佐子「踊り火 跳ね提灯」
奈知未佐子「幼枕」
よしまさこ「横浜迷宮(ラビリンス) 赤い髪」
草間さかえ「金魚の旅」
神坂智子「猫のみた夢」
西炯子「黒猫が...見てる」
田村由美「猫mix幻奇譚とらじ 勇者と風呂と夢ねずみ」
新井理恵「ヨタ話」
桜小路かのこ「鈴ちゃんの猫」
さいとうちほ「チュチュ太郎の場合」
グレゴリ青山「ひみつのグ印観光公司」

2013.06.14 17:28 | 書籍掲載情報

「貴婦人と一角獣展」に行ってきました。

貴婦人と一角獣展萩尾先生もご覧になったという、国立新美術館の「貴婦人と一角獣展」に行ってきました。NHK Eテレの「日曜美術館」で予習して行ったにもかかわらず、実物の展示してある部屋に入ったときに、思わず小さな声をもらしてしまうほど、その大きさと美しさに圧倒されました。

庶民には縁遠い、貴族の作らせた美しい工芸品ではありますが、中世の頃は一角獣の実在に疑問はもたれていなかったということが、なんだかとてもわかるような気がします。真ん中に立って、すべてのタピスリーを俯瞰し、じっくりと個々のタピスリーに見入って、最後にまた真ん中に戻ってぐるりと俯瞰します。すると、「視覚」だけ高さが違うことに気付きました。幅はいろいろなのですが、高さはだいたい揃っています。他のものは木が4本あるのに、これだけ2本。調べると50cmも短い。理由を知りたくて図録を買ってしまいました。どうやら修復の都合上、一部織り込まれているために、これだけ短くなっているようです。(各タピスリーの写真

私が一番好きなのは「我が唯一の望み」ではなくこの「視覚」です。ユニコーンの顔がうっとりとやさしげで、ひざの上にちょこんとのっけた足がかわいらしい。でもこの貴婦人、川俣しのぶさんに似ているような気もします。

すべてにおいて目を引いたのが貴婦人や侍女のドレスの質感。折り目の美しさなど。もともとが織物なので当たり前なのかもしれませんが、例えば「味覚」の侍女のひざのあたり、素晴らしくリアルでやわらかな質感です。

保存状態を保つため、照明を強くあてることができないが故に、うすい赤でしか見ることが出来ない実物を補完する意味で、別室にディティールの写真が多数展示されていて、本来はこういう「赤」だったんだろうなと頭にインプットしつつ、再度またタピスリーの間に戻ったりしていました。

ディティール写真の中でも特に「うさぎ」の多さに目をひかれ、これはうさぎフェチは行かないと、とも思いました。

おそらく27歳の頃の萩尾先生がご覧になったこのタピスリー。当時すでに「ユニコーン」というモチーフを気に入られたご様子で何度かか描かれています。あらためて、またこの作品が日本にやってきたことは感慨深いことでしょう。

2013.06.10 13:56 | その他