10月13日小学館文庫「10月の少女たち」刊行
2012年10月13日、小学館文庫から「10月の少女たち」が刊行されました。
収録作品は以下の通り。
「10月の少女たち」
「みつくにの娘」
「精霊狩り」
「ドアの中のわたしのむすこ」
「みんなでお茶を」
「千本めのピン」
「プシキャット・プシキャット」
「赤ッ毛のいとこ」
「花と光の中」
「あそび玉」
「影のない森」
「十年目の毬絵」
「デクノボウ」
「砂漠の幻影」
「神殿の少女」
「月蝕」
エッセイ:吾妻ひでお
初期作品で、SF色の強いものが入っているかと思うと、純和風のストーリーも入っています。1972年から1984年になりますね。「精霊狩り」シリーズと「赤ッ毛のいとこ」は初期作品の中でも非常に親しみやすい作品なのに、何故か新しい小学館文庫に入っていませんでした。また、「あそび玉」も作品集の第2期に入っただけでした。
こういった現在では入手しにくい作品のうち、特にこれはもったいないと思われるものが集められたようです。でも「デクノボウ」は意外でした。
最後の「月蝕」はもともと『スターログ』というアメコミ仕様の雑誌に収録されたので、左開きでした。最初に収録された単行本は小学館叢書の「ポーの一族」3巻で、無理に右開きのまま逆に組み直していました。
『文藝別冊 萩尾望都』では左開きのまま収録されたのは、たいへんよかったのですが、右開きのそのまま読むと、何の注意書きもなかったので、ラストから読み始めて混乱したという声がネットではあがっていました。確かに、そういう作品だと知らなければ、そうなるだろうと思います。
今回は右開きで読み進め、「月蝕」に入る前にきちんと断り書きが入っているので、一番後ろまで行って読み返せるようになっています。さすがは小学館ですね。
この文庫の刊行により、小学館文庫、白泉社文庫、秋田文庫など、現在新刊書店で入手できない萩尾先生の作品はほぼなくなりました。残るのは「ユニコーンの夢」「いるかいないかさがし」「バースディケーキ」のみとなりました。10ページ以下の作品にはたくさんありますが。なんか惜しいですね。「いるかいないかさがし」は1冊で出してくれないかなぁ。
「夜の河を渡る」はまだここではないどこかシリーズが完了したとは聞いてないので、「王妃マルゴ」の後どうなるか、でしょうね。
小学館
690円 344p ISBN978-4-09-191405-7
とある10月・・・。住む場所も、歳も異なる少女たちは、それぞれにかけがえのない「時」を迎え、とまどい、心を揺らしながら少しずつ大人になろうとしていた・・・、やがて少女たちに訪れるのは? 伝説のコミック専門誌「COM」に発表されたオムニバス作品をはじめ、「精霊狩り」「赤ッ毛のいとこ」「みつくにの娘」などSF、コメディーからファンタジー等バラエティーに富んだ作品群は「少女まんが」に於ける混迷と萌芽の時代・1970年前後のリアルな息吹を伝える。ほかに入手困難だった青年誌掲載作品等16作を収録する必携の傑作短編集。