2012年6月
『flowers』2012年8月号に紫綬褒章にまつわるコミックエッセイが掲載
2012年6月28日発売の『flowers』2012年8月号に2ページのコミックエッセイ「あわてふため記 紫綬褒章」が掲載されています。緊急描き下ろしで、紫綬褒章の一報を受けてから、お父様が亡くなり仏前でご報告されたことから、伝達式への準備や伝達式の詳細な段取りなどが描かれています。
紫綬褒章の伝達式の段取りなんて普通は知りません。非常に珍しい体験をなさったので教えて下さったのでしょう。少ないページ数に大量の情報を詰め込むのが上手い萩尾節が炸裂しています。
伝達式、6月6日は予想通りでしたが、場所は如水会館だったんですね。
「flowers」に伝達式式場での先生のお着物姿の写真が載っています。
【ジャパン・エキスポ】萩尾先生のブース滞在時間について
7月5日~8日にパリで開催される「ジャパン・エキスポ2012」に関し続報です。
萩尾先生は基本的に午後からブースにいらっしゃいますが、時間については未定だそうです。ブースにいる時間は毎日午前中にブースにて発表するとのことです。
場所は"Parc des Expositions de Paris-Nord Villepinte"(パリ・ノール・ヴィルパント展示会会場 アクセス方法はこちら)です。ブースの場所は「ホール5A スタンド:BD25」です。開催時間は前売券をもっていれば9:00~19:00、当日券ですと10:00~19:00です。
2012年12月に刊行予定「トーマの心臓」英訳の予約が開始
2012年12月に刊行予定の「トーマの心臓」英訳(マット・ソーン先生訳)が版元であるFantagraphics Books社から予約開始されました。
480ページ、ハードカバーの大著。35ドル(約2,800円)くらい当然ですね。
Fantagraphics Books "The Heart of Thomas [Pre-Order]"
【2012年9月11日追記】
amazonでの発売日が2012年10月19日から2013年1月5日に変更になっていますので、上記日付を修正しました。
【2012年10月10日追記】
刊行日が版元のFantagraphics社のサイトでは12月になっています。amazon.co.jpの情報がまだ更新されていませんが、日本での発売も12月になるそうです(マット先生談)。
【2012年12月2日追記】
Fantagraphics社がFlickerに「トーマの心臓」の動画と静止画像を大量にアップしています。日本の出版社もこのくらいして欲しい...。
【2013年1月3日追記】
日本でもアメリカでも2012年中には出ませんでした。amazonですと、USも日本も1月18日発売になっています。
【2013年1月24日追記】
1月24日ようやく到着。1月18日が発売日になっており、19日には発送の連絡がきました。なので、5日〜6日。まぁまぁの時間ですね。お値段は2,878円です。これは時期によって違うと思います。
→翻訳
6月9日TBS「王様のブランチ」にご出演されました。
2012年6月9日(土)のTBS「王様のブランチ」BOOKコーナーに萩尾先生が出演されました。
まずは紫綬褒章受賞について、漫画家になられたいきさつ、作品へ向かわれる動機など、短い時間ながら、ていねいに構成されていて、安心しました。
紫綬褒章については「川上からどんぶらこと桃が流れてきたみたいで、本当に驚いた」と突然のことに戸惑った様子。そしていつもの「手塚治虫の新選組を読んで漫画家を目指した」ことをお話されていました。また、「1年365日のうち365日、コミュニケーションについて悩んでいる。自分の言ったことは誤解されずに相手に伝わっただろうか、相手の言ったことを自分はきちんと受け止めているだろうか?でも悩んでばかりいて行動には出さないので、頭の中でぐるぐるまわって煮詰まって、それが作品にはどうしても出てしまっていると思う。」とのこと。
「王様のブランチ」らしいミーハーな話題も出て、「先生の描かれる美少年にモデルはいますか?」に対しての答えにはなってないと思うのですが、「好きな俳優はアル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、木村拓哉」とお答えに。アル・パチーノやデニーロはわかるのですが、キムタクはあまり言ってませんでしたよね。でも、「残酷な神が支配する」のイアンには長髪時代のキムタクのしぐさや表情が反映されていることに、我々一部のファンは気付いていました!
そして「なのはな」の内容もきちんと紹介してくれていました。原発三部作の扉の画像が何故かあまりよくなかったのが不思議でしたが、「なのはな」の原画が出ていました。手書きの文字だったので、「お、原画だ!」とちょっと感動。そしてスタジオで「なのはな」の感想を語り合って終わり。
民放のわりにていねいな扱いでよかったなと思いました。過去のフジテレビの「いいとも」や日テレの「スッキリ」など、怒りを覚えるほどではありませんが、ちょっとな...と感じるところありまして。NHKはいいんですけど。
MCの谷原章介さんが昔からの萩尾先生のファンだそうで、「ポーの一族」や「トーマの心臓」の感想を的確に述べてらしたのが印象的でした。ダ・ヴィンチ編集部の服部美穂さんもすごくきちんとした方で、安心でした。出演者の皆さんがこのくらいレベルが高ければ、漫画家の先生方も安心して民放のバラエティに出ることが出来るでしょうね。
コーナー全体では12分でした。インタビューの場所ですが、ずらっと並んだ本棚は全部萩尾先生の著書で、それは単行本だけでなく『プチフラワー』の萩尾先生の表紙の号などもありましたので、小学館の編集部から持っていったとしか思えないですね。やはり小学館の応接室なのかな。
【ジャパン・エキスポ】同人誌発表(レオくん3種)
ついにジャパンエキスポで販売される萩尾先生の同人誌が「Moto Hagio - Leokun Project -」にアップされました。レオくん1,2,3と三冊もあります。赤、青、黄色の表紙です。
【2012.6.6補足】
内容は3冊とも旧作がそれぞれ3作品ずつ収録されています。つまり全部で9作品ですね。
セリフ等は日本語とフランス語の併記されています。
体裁はB5サイズ、並製本、無線綴じ、カバーなしです。
他にもグッズを用意されているようですが、どんなものなのでしょう?続報が入り次第、こちらでもアップします。
尚、ブースの場所もお知らせされています。「ホール5A スタンド:BD25」です。会場図は追って出るようです。
【2012.6.20補足】
会場で配布されるチラシがアップされました。
あらためて
ジャパン・エキスポの会期と会場です。
会期:2012年7月5日(木)~8日(日)
場所:パリ郊外の見本市会場
Parc des Expositions de Paris-Nord Villepinte
【書評】〈少女マンガ〉ワンダーランド
「〈少女マンガ〉ワンダーランド」菅聡子,武内佳代,ドラージ土屋 浩美編 明治書院 2012年5月29日
お茶の水女子大の教授を中心とした研究グループのつくった本です。この中に「ポーの一族」の論文が入っているので買って読んでみました。その論文の著者の菅聡子教授は本書刊行の直前に48歳の若さでお亡くなりになっています。
執筆者は国文学や美学系の方が多いようです。2010年頃の論文がベースのため、論文内容やインタビューに若干時間差を感じますが、全体的に少女マンガ及び少女マンガ研究を俯瞰して読むことが出来ます。少女マンガの研究史のポイントをかいつまんで説明してくれています。しかし、テーマを絞るところもきっちり短くまとめてあります。
「のだめ」の論文は楽しいのですが、作品中より更に論文の方がオノマトペだらけなのはちょっと変かなと思ったりもします(こちらに一部掲載)。「ヘルター・スケルター」はタイミングが良いのですが、完全ネタバレのため映画も漫画も未見の方は要注意です(論文でネタバレなしは無理でしょうし)。
少女マンガ・パワー展は続いているのでしょうか?今は講演会ツアーだけのようですが。徳先生は相変わらずパワフル。海外の人がみんな「セーラームーン」から入ってるのかおかしいです。
お目当ての「ポーの一族」の論文は、もともと英語で書かれた物を抄訳という形で翻訳されたものだそうです。それ以外にも何度もちらちらと先生のお名前が出ています。
■目次
I〈少女マンガ〉の歴史をふりかえる
〈少女マンガ〉とは何か
察明期六〇年代少女小説から始まった(ドラージ土屋浩美)
七〇年代花開く少女マンガ(ドラージ土屋浩美)
八〇年代学園にすべてがあった(倉田容子)
九〇年代j現在少女から女性へ、そして新しい世代へ(川原塚瑞穂)
少女マンガ批評の系譜(武内佳代)
COLUMN 少女マンガとBL(ポーイズラプ) 性とジェンダーの冒険(内海紀子)
INTERVIEW 吉野期実。美しき絶滅種のような永遠
COLUMN 少女マンガとメディアミックス。そのはじまりは...(矢津美佐紀)
II テクストとしての〈少女マンガ〉
永遠の命、永遠の孤独―『ポーの一族」の系譜(菅聡子(抄訳:ドラージ土屋浩美・武内佳代))
したたかな乙女ちっくと、ひよわな「児童文学」(藤本恵)
カタルシスとしての少女ホラーマンガ(ドラージ土屋浩美)
「大奥』論―性役割・制度・性的身体(本田和子)
III テクストとしての〈少女マンガ〉
少女マンガにおけるSF性と性差混乱(小谷真理)
『のだめカンタービレ』における笑いの要素(青山友子)
少女マンガと文学―ジャンルを超える表現(久米依子)
そして彼女たちの肉体の黄金―岡崎京子『へルタースケルター」における身体をめぐる抑圧と欲望(天野知香)
海外から見た〈戦闘少女〉(レベッカ・スーター,内堀奈保子翻訳)
COLUMN 少女マンガと「ふろく」「ふろく」は決して「付録」でない(内堀瑞香)
III 名セリフで読む〈少女マンガ〉名作ガイド
IV 海外〈少女マンガ〉事情
ESSAY 徳雅美 海外における少女マンガの受容、発展、そして変貌
巡回少女マンガ展示会「Shojo Manga! Girls Power!」報告(2005-2011)
プログ座談会日本の少女マンガ、ここがおもしろい!
V 〈少女マンガ〉作家紹介45
おわりに