著者 | 長山 靖生 |
出版社 | 光文社 |
初版発行 | 2022.7.30 |
叢書名 | 光文社新書 |
ISBN | 978-4-334-04620-0 |
はじめに――世界はどこから来て、どこに行くのか | p3~8 |
第I章 双子と自由とユーモアと――踊るように軽やかな表現の奥に | p17~46 |
第II章 美しい宇宙、孤独な世界――萩尾SFが求める多様性社会 | p47~66 |
第III章 少年と永遠――時よ止まれ、お前は美しい | p67~118 |
第IV章 大泉生活の顚末と心身の痛み――少女漫画史再考1 | p119~139 |
第V章 「花の二四年組」に仮託されたもの/隠されたもの――少女漫画史再考2 | p141~177 |
第VI章 SF少女漫画の夜明け――先人たちの挑戦と萩尾望都の躍進 | p179~216 |
第VII章 次元と異界の詩学――漫画で拓いたSFの最先端 | p217~251 |
第VIII章 親と子、その断絶と愛執――母娘問題の先取り | p253~288 |
第IX章 ふたたび、すべてを――私たちが世界と向き合うための指針として | p289~313 |
あとがき | p314~317 |
主要参考文献 | p318~322 |
『ポーの一族』『トーマの心臓』『11人いる! 』『イグアナの娘』…1949年生まれの萩尾望都。大島弓子、山岸凉子ら革新的な少女漫画家の中でも常に筆頭にあげられ、50年以上にわたり時代の先端で新たな普遍的表現を切り拓いてきた。
SF評論家である著者にとって萩尾望都は、まず美しく繊細な少女や少年の描き手であり、SF作家であり、自由と対等と共生の模索者である。
戦後日本が唱えつつも未だ意識改革できていない課題――ジェンダー、多様性、親子関係等々について、その理想を失わず更新させ続けた表現者だ。
本書では萩尾作品そのものの鑑賞と、その活躍の軌跡、また小松左京や橋本治をはじめ「誰がどう萩尾作品を論評してきたか」を通して魅力を存分に伝えるとともに、戦後社会がまだ達成できていない希望を見つめ直す。