残酷な神が支配する

ボストンに住む16歳のジェルミは、母親のサンドラと二人暮らしの普通の高校生。だが、ある日サンドラが働いている古美術店に英国紳士が現れてから、彼の運命が軋み出す…。人間の愛憎を鮮烈に描く、注目のサイコ・サスペンス第1集！

サンドラの幸福を願い、まるで生贄のようにグレッグの罠にはまってしまったジェルミ。ビビとケンカ別れしたまま、新しい家族の待つ英国へと旅立つが…!?　常に斬新なテーマに挑み続ける著者の、話題のサイコ・サスペンス第2集!!

寄宿学校に転入したものの、ジェルミは週末のたびグレッグに苛まれ続けていた。ところがある晩、そんな二人をナターシャが目撃して…!?　愛憎渦まく人間関係と綾なす複雑な心模様が、ドラマチックに展開するサイコ・サスペンス第3集。

週末ごとに苛まれ続けるジェルミは追いつめられ、心のバランスを失いつつあった。ある日、グレッグの過去を知る娼婦を訪ねるが…。義父の偏執狂的な愛憎に翻弄される少年の苦悩を冷徹に描いて話題のサイコ・サスペンス、待望の第4集！

グレッグの偏愛に、ひとり悩み追いつめられていくジェルミ。だが、オルガニストのナディアや少女・バレンタインのやさしさに救いを見いだそうとする。そんな矢先に……。話題のサイコ・サスペンス―新たな展開を見せる必読の第5集!!

ジェルミはグレッグの偏愛に苛まれ続けていた。唯一の相談相手だった精神科医の死、学校での傷害事件、ボストン旅行の中止…。深い絶望の中、彼の心に殺意が芽ばえ始めて…!?　行き詰まるようなサイコ・サスペンス―展開急な注目の第6集。

ジェルミの殺人計画はサンドラを巻きぞえに！動揺するジェルミを疑い、自動車事故の真相を探ろうとするイアンの前に協力者が現れて…。愛憎が鋭く交錯する心理ドラマを鮮烈に描いて人気の長編サスペンス。さらに緊迫する第7集。

ジェルミを疑い執拗に告白を迫ったイアンだが、ようやくジェルミが語り始めた真相は、あまりにも衝撃的すぎて信じられない。そして…!?　話題の長編サイコ・サスペンス―鋭く交錯する愛憎がさらに沸騰！息もつかせぬ展開の第8集。

イアンはジェルミの告白を信じられず、否認した。しかしその後、イアンは真相を裏づける証拠の品を発見！ショックを受けたイアンはアメリカへ帰国してしまったジェルミを追ってボストンへ行くが…。話題のサイコ・サスペンス第9集。

ボストンの下町で、薬をやり体を売って、キャスと暮らすジェルミ。しかしグレッグの悪夢から逃れることはできない。イアンはジェルミを更正させようと英国に連れ帰るが…。第一回手塚治虫文化賞マンガ優秀超受賞作、ファン待望の第10集。

イアンはジェルミに更正を約束させ、ハムステッドでのふたりの新生活が始まる。しかし、すぐにジェルミは約束をやぶり再び薬（ドラッグ）と売春におぼれる生活に戻りそうになる。ジェルミを救おうとするイアンだが、逆にジェルミに引きずられるようにして関係をもってしまう。ついには、ナディアをも巻き込んで、混沌の感情が交錯する第11集！

水底に沈む悪夢にとらわれたままのジェルミと関係を持ってしまったイアン…！ジェルミへの思いを愛だというイアンとそれを拒むジェルミ。気持ちがすれ違うまま、旅行へ出かけることになるが…。注目のふたりの心のゆくえ、第12集。

ジェルミはイアンの気持ちを拒み続け、ボストンに帰るという。イアンはジェルミと離れるほうがいいのかと思い始めた。そんな時、失綜していたナターシャがジェルミに会いたいと言ってきた。再びリン・フォレストの森からよみがえる過去。さらなる迷宮へとつき進む第13集!!

ジェルミは繰り返しよみがえるグレッグの幻影に苦しみながらも、みずから過去を語りはじめる。そんなときジェルミは、かつて互いに心の傷をかいま見たことのある、バレンタインに会いに行くことを決めた。新展開をみせる第14集。

マージョリーの回復を見届け、復学の準備を始めるジェルミ。だがグレッグの幻影が、殺意と悔恨と苦悩うずまく事故当日に引き戻す。ジェルミが求めるのは…そして、イアンが与えられるのは、裁きか、救済か。事件の核心に迫る第15集。

復学をはたし一度は去っていったジェルミがイアンのもとに現れた。サンドラが亡くなった自動車事故から1年、ジェルミは、真相を知るイアンを「必要だ」というのだが。彼の心の奥にひそむ真実がついに姿を見せはじめる第16集。

迷いの中、イアンとふたりで出かけた自転車旅行で、気持ちを開きかけたジェルミだが、またも何かを恐れるようにイアンから遠ざかろうとする。大学進学の決まったイアンはジェルミをリン・フォレストに誘った。静かな夜、追憶の中、ボート小屋でふたりは語り合うが…。注目の巨編、ここに感動の完結!

母とふたり、ボストンでクラス15歳の少年ジェルミ。友達に恵まれ、ボランティアと勉強に励む幸せな生活を送っていた彼の日常は、ある男との出会いで一変する。母・サンドラの婚約者で大金持ちの英国紳士・グレッグ。絵に描いたような理想の義父の中には、恐るべき悪魔の顔が潜んでいた。サンドラの幸福を盾に、ジェルミに肉体関係を迫ったのだ。苦痛と苦難に満ちた地獄の日々が始まった。愛と憎悪、喜びと悲しみ…綾なす複雑な人間の感情を、萩尾望都が熟練のペンで描き切った壮大なヒューマン・ドラマ、開幕。

まるで蜘蛛の糸にからめとられるように、グレッグの獲物と化したジェルミ。逃げるように寄宿学校に転入したものの、帰宅する週末ごとに義父との悪夢のような時間が待っていた。回を重ねるごとにしだいにエスカレートする行為に、ジェルミは心身ともに激しく消耗していく。それでも、母の幸福のためにはグレッグの要求を受け入れるしかなかった。そんなある日、グレッグの先妻の姉・ナターシャが、ふたりの忌まわしい現場を目撃するが…!?　愛と憎しみのサイコ・サスペンス、第2巻！

義父グレッグの常軌を逸した行為にさいなまれ、ジェルミは追いつめられていた。誰にも自分の苦悩を打ち明けられない。抑圧された精神は極限状態に陥り、日常生活をも浸食し始める。やがてグレッグへの憎しみは、殺意へと変貌していく。たまりかねたジェルミは、精神科医・オーソンに救いを求める。病んだ心の回復には真の愛情が必要だと諭されたジェルミは、口のきけない少女・バレンタインやオルガニストのナディアの優しさにひとときの安らぎを見出した。新たな局面を迎える大型サイコサスペンス！

クリスマスを控えた冬休みのある日、ジェルミはついにグレッグ殺害計画を実行に移した。車のブレーキに細工し、交通事故を起こさせて彼を葬る。ジェルミのもくろみどおり車は事故に遭い炎上する。すべては完璧だった。ただひとつ、その車にサンドラも同乗していたことを除けば…。自分がもたらした最愛の母の死。墓前に立ちつくすジェルミの呟きを耳にしたイアンは疑惑を抱く。まさか、ジェルミが？　イアンは事故の真相を探るべく、ジェルミを追求し始める。愛憎渦巻くサイコ・サスペンス、緊迫の急展開。

ジェルミを疑い執拗に告白を迫ったイアンだが、ようやく彼が語りだした真実は、あまりにも衝撃的なものだった。信じていた父の姿が揺らいでいく不安とジェルミへの不信で苦悩するなか、イアンは二人の犯罪の確かな証拠を探し始める。ところが、直後に入った、父の事故は車の欠陥のせいであったとの知らせに、混乱したイアンはジェルミの告白を“否認”してしまう。ショックのあまり、アメリカへ帰国するジェルミ。そして、イアンはすべてを忘れようと決意する。息もつかせぬ展開の長編サイコ・サスペンス！

アメリカへ帰国したジェルミは、ドラッグに溺れ体を売って暮らしていた。一方、とうとうグレッグの犯した罪を認めたイアンは、ジェルミを追ってボストンへと渡る。二度とおまえの痛みに目をつぶらない。そう誓ったイアンは、ジェルミをイギリスへと連れ帰り、カウンセラー・ペネローペの元へと通わせる。バレンタインの双子の兄・エリックや、ナディアの妹・マージョリーらと新たな人間関係を築き始めたジェルミだが、心はいまだ悪夢に囚われたままであった。混沌とした感情が交錯するサイコ・サスペンス、第6巻！

更正を約束し、ハムステッドでイアンとの新生活を始めたジェルミ。しかしそれは、ドラッグと売春に溺れる生活に戻りそうになる危うい日々であった。そんなジェルミを救おうとするイアンは、逆に彼の心の闇に引きずられるようにして肉体関係を結んでしまう。金を払ってまで関係を続けようとする、この欲望は愛なのか…？　嵐のようにおしよせる混乱と苦しみの中、イアンはナディアに別れを告げる。イアンとジェルミ、迷走する二人の感情は、ナディアを巻き込み、新たな苦悩を生み出そうとしていた。

ジェルミへの愛を伝えたイアンと、イアンを愛していると言いながらも、彼の思いを拒絶するジェルミ。二人は失踪していたナターシャと、リン・フォレストの森で再会を果たす。ナターシャとの会話の中で、ジェルミだけでなく、自らの心にも深く暗い空洞があると知ったイアンは、過去の出来事の真の意味を探るため、再びジェルミにグレッグとの関係を語らせる。しかし、その先に光が見えると信じての対話は、マージョリーの突然の自殺未遂により、出口すらみえなくなっていく。さらなる迷宮へと突き進む長編サイコ・サスペンス。

苦しみながらも、過去を語り続けるジェルミ。ジェルミはかつて互いに心の傷をかいま見たことのあるバレンタインに会うため、エリックとともにスエーデンを訪れる。エリックとの再会で、言葉を取り戻したバレンタイン。彼女の告白から、彼女が抱える罪と罰、そして勇気を知ったジェルミは、イアンに対する依存から脱却するため、復学の準備を始める。手の届かない場所で回復し、距離を置こうとするかのようなジェルミにｍ、イアンは…!?　いよいよ物語の核心に迫る、長編サイコ・サスペンス第9巻。

復学したジェルミが突然ハムステッドのイアンの元へ戻ってきた。それは、あの自動車事故からちょうど一年がたった日であった。悪夢の中で遭難するかのような数日の後、ジェルミは己の罪を知る存在であるイアンが「必要だ」と告げる。傷つき戸惑うイアンを利用することで過去の記憶を封じ込めたジェルミ。だが、カウンセラー・ペネローペの言葉が呼び水となり、サンドラに対する思いが爆発してしまう。追憶の中に現れる、グレッグ、サンドラ、そしてジェルミとイアンの真の姿と愛とは…!?　感動の大巨編、ついに完結！