作品目録

海と真珠

シリーズ・ここではないどこか 第20話

初出誌
「flowers」2010年12月号(2010.12.1) p103~134(32p)
登場人物
浦島舞:大学生で小説を書く。夜羽根に片思いしており、振り回されている
天草夜羽根:舞の大学の友人。外見は派手だが貧乏学生。
川寺松男:舞と同じ大学の学生。夜羽根の友人。
乙部愛:舞と同じ大学の学生。
戸田美津絵:舞と同じ大学の学生。
在子:川寺の叔母。横浜で「在子バレエ」というバレエ教室を運営。
ハナとヒメ:川寺の従姉妹。在子の娘でバレエを習っている。
生方正臣:小説家。舞の通う大学の臨時講師。
あらすじ
浦島舞は同じ大学の友人・天草夜羽根に片思いをしている。夜羽根は外見が派手なのでたくさんの女の子にチヤホヤされていて、舞は気が気でない。今日も二人の美少女を「ハナちゃん」「ヒメちゃん」と呼び、食事に連れて行かれてしまった。呼び止める舞を「あとでね」とあっさり振り切って。
そんな舞を見かねて大学の友人たちが「追いかけてばかりではダメだ、ホイホイ言うこときかずに、じらして追いかけさせないと」とアドバイスする。そんなことを言われても、舞にはなかなか出来ない。つい昨日の美少女たちのことを詮索してしまい、「キライ」と言われてしまう。
ショックを受け、夜羽根から距離を置こうと決心する舞だったが、夜羽根が舞を避けるのは意外な理由からだった…
コメント
「海の青」「水玉」「シャンプー」の続編。連作のテーマは“片思い”です。好きな人のことを知りたい。でも知ろうとすると嫌われてしまう。追いかけてばかりではダメだとわかっていても、好きな人のことは知りたい、というジレンマなお話。
久しぶりにバレエが登場します。「海と真珠」はリッカルド・ドリゴというイタリア人の作曲家によるもので、かわいらしい踊りですね。夜羽根はせっかくの王子様キャラなのでバレエに使わないと確かにもったいないです。萩尾先生のキャラクターでバレエでは確かに王子キャラはいましたが、この目の人物ではこれまでいなかったと思います。
夜羽根は王子様なんだけど貧乏学生です。でもマジメではなく顔の通りのまま調子が良いというアンバランスさ。貧乏だからほいほいとお金や食べ物につられてしまうので、ちっとも二枚目ではありません。非常に面白いキャラクターです。
夜羽根は特に舞には知られたくなかったということは、舞にだけは王子様でいたかったのかもしれません。川寺のアテキャラのおかげもあり、少しは意識されているようで、舞い上がってしまうのも理解できます。このシリーズ、続きはあると思うのですが、つまらないラストには決してならないと思います。萩尾先生の連載ものでラストに裏切られたことは一度もないので。

2010.11.2

収録書籍
春の小川

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