作品目録

あぶないアズにいちゃん

あぶない丘の家

初出誌
「ASUKA増刊ファンタジーDX」1992年夏の号・秋の号 123p
#1(前編):1992年夏の号(1992.8.20)
#2(後編):1992年秋の号(1992.10.20)p109~170(扉裏広告)
登場人物
平羅坂真比古(ヒラサカ・マヒコ):高校生。
平羅坂安曇(ヒラサカ・アズミ):予備校生。マヒコの兄
不動律子(リーコ):マヒコのクラスメートで坂の下の古道具屋の娘。
不動靜香:リーコの姉。
平羅坂加代子:マヒコの母親。
平羅坂一斗(ヒラサカ・カズト):マヒコの兄。
坂上:大月神社の神主だった。
エヒメ:1500年ほど前に落ちてきた石の生け贄にされた12歳の女の子。
あらすじ
マヒコとアズミの兄弟の両親はある日曜日、国道の玉突き事故で亡くなった。高校生と予備校生の男兄弟二人では暮らせないだろうと、名古屋の叔父叔母が呼んでくれているが、マヒコは父母の思い出の残るこの家から離れたくはなかった。
月ヶ丘の一番上に大月神社があり、マヒコの家はその大月神社の北側に立っている。リーコの家は月ヶ丘の坂の下にある古道具屋で、リーコの姉・靜香は霊感が強いらしく、マヒコの家に不吉なものが見える。元来、月ヶ丘のてっぺんには黒い竜が眠っていて、ときどき生きた子供を食べるという伝説がある。
両親の死語、マヒコの家では不思議な現象が次々起き、マヒコ自身も悪夢にうなされる。庭の植木が荒らされたり、家の中には父と母の幽霊がいたりする。父の幽霊は「あれがほしがっているのはおまえだ。坂上さんに助けてもらえ」と言う。
坂上さんとは大月神社の神主だった人で、3年前から横浜の桜木町の娘の家に住んでいる。マヒコが娘さんの家に電話をすると、入院中だというのでお見舞いに行く。坂上さんは「神かくしの黒い竜からおまえの家を守ってきたが、自分の力が弱くなったので、両親が事故に遭ったのだ」と事情を話してくれた。
マヒコの家は神社の北側の土地を12~13年前に分譲したものだが、そのとき3~4畳はある黒い平らな石が出てきた。家は建ててしまったが、後から坂上さんが調べたところでは伝説によると空から大きな石が降ってきたという。
そんな頃、大学を卒業してすぐアフリカに井戸掘りに行ってしまった兄のカズトが帰って来る。なぜか彼のことをマヒコは忘れてしまっていた。平羅坂の家は二人兄弟だとカズトは言う。すると、アズミは誰なのか?この家はどうなってしまうのか…?
コメント
月刊『ASUKA』に1992年から94年まで断続的に連載された「あぶない丘シリーズ」の第一作目です。「海のアリア」同様、日本を舞台にしたSFファンタジー・コミックですが、よりコミカルになっています。主に日本の伝説や歴史をテーマにした作品です(「未来少年」だけはまた違いますが)。
このアズ兄ちゃんは主人公マヒコの家の不思議な話が始まる前から地球にやって来たエイリアンです。平羅坂家に3年前に養子に来たのですが、「遠縁の息子」というからには平羅坂父の記憶をコントロールしたのでしょう。同時にカズトという兄の存在を少なくともマヒコの中から消し去るようにしたのでしょう。アズミの正体もそうですが、その辺は割合ずっとぼかして描かれているようです。

2010.8.16

収録書籍
あぶない丘の家 第1巻

あぶない丘の家1 ASUKA COMICS 角川書店 1993.4

あぶない丘の家

あぶない丘の家 小学館文庫 2001.12.10

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あぶない丘の家 小学館文庫 2001.12.10

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