作品目録

ロットバルト

 

初出誌
「プチフラワー」1991年1月号(1991.1.1) p105~154(50p)
登場人物
ピナ:ラフォス・バレエ団の新人ダンサー。
ロブ・カリガリ:ゲスト・ダンサー。ロットバルト役。
イブ:ラフォス・バレエ団のトップスター。
アダン:ラフォス・バレエ団の監督。
イアン:ラフォス・バレエ団のダンサー。ジークフリート王子役。
ポーラ:イブの付き人。
あらすじ
ラフォス・バレエ団のゲストであるロブをみんなが嫌うのは、トップスターであるイブがロブを嫌うからだ。「白鳥の湖」の公演中、イブが息を切らし楽屋にこもる。付き人のポーラが5分部屋を離れた間にイブが殺されていた。部屋に飛び込んだロブがイブを抱きしめる。嫌われていたはずなのになぜとピナは思う。
公演は中止になり、その夜、酔ったロブを監督が連れていたところに出くわしたピナは自分の部屋にロブを連れて行く。寝込んでしまったロブの手から指輪が転げ落ちる。指輪はいつもイブがはめていたもので、「いとしいイブへ。ロブより」と書いてあった。ピナはロブをイブの殺人犯ではないかと疑う。
7年前ロブは奈落に落ちて腰骨を折り、再起不能と言われた。手術とリハビリを繰り返したどうにか3年前に復帰した。アメリカの地方の部隊を転々としていたが、舞台を見たアダンがゲストに呼んでくれたのだ。若い頃、ロブとイブはカナダで婚約していた。ロブはイブに再会してただ懐かしい思いだったが、イブの方は迷惑だったようで、指輪を返すと言って来た、とロブが語る。
ピナはイブの代役でオデット役に抜擢された。練習は進むが、ポーラの様子がおかしい。誰がイブを殺したのか、ロブやポーラだけでなく、イアンやアダンまでもが疑わしく見えてきた。ピナは無事オデットをつとめられるのか?そしてイブを殺したのは誰か…?
コメント
「白鳥の湖」はバレエの作品中、一般的にもっとも知られた作品だと思います。その中でもロットバルトという悪魔役を主役に据えたのは、萩尾先生が以外とこの重要な脇役がお気に召したからかなという気がします。バレエを漫画化するのなら、やはり「白鳥の湖」は欠かせないと思われたのかもしれません。
バレエの公演に絡めて、殺人事件を追うというミステリーを短いページ数に入れ込んでいます。この作品のように短い中にいろいろ詰め込む処理が天才的にうまいのは、「グレンスミスの日記」に代表される萩尾先生の個性の一つではないでしょうか。

2010.7.22

収録書籍
青い鳥―ブルーバード(プチフラワーコミックス84)

青い鳥―ブルーバード(プチフラワーコミックス)小学館 1991.5

感謝知らずの男


感謝知らずの男 小学館叢書 1996.7

ローマへの道


ローマへの道 小学館文庫 2000.9.10

真夏の夜の惑星

ジュリエットの恋人