作品目録

謝肉祭

メッシュシリーズ 10

初出誌
「プチフラワー」1983年1月号、3月号
前編:1983年1月号(1983.1.1) p243~292(50p)
後編:1983年3月号(1983.3.1) p7~58(52p)
登場人物
メッシュ:両脇だけ白銀という二色(メッシュ)の髪をもつ金髪の少年。
ミロン:メッシュの面倒をみている贋作画家
オズ・バード:ドイツ人のファッション・デザイナー
ルシアン:オズの学生時代の友人。実業家
マルラ:ルシアンの妻。オズの学生時代の友人
ダーダ:オズのアシスタント
あらすじ
謝肉祭も近づき、秋の気配が色濃くなったパリ。メッシュはフォーラム・デ・アルのショッピングセンターにフィルムを出しに行った。そこは若者たちのたまり場で、彼らは歌ったり踊ったりアトラクションをしたりしている。前衛劇のような奇抜なファッションの男が階段から足をすべらせ、メッシュは巻き添えになって落ちてしまう。
その男はオズ・バードというドイツから来たデザイナーで、キンスキー伯の目にとまり、パリにやって来たのだった。パトロンのパーティの余興にちょっとしたショーをやるのだが、パリには来たばかりでモデルが足りない。メッシュの目つきを気に入ったオズはモデルのバイトを依頼する。オズとアシスタントのダーダは背の高いモデルも探していたため、ミロンも呼び出して一緒にモデルをすることになる。
パーティーの日、オズは旧友のルシアンとマルラに再会する。ルシアンはメッシュを女と思い込み、何故か興味をもつ。
パーティの後、メッシュはオズに2週間後に迫ったファッション・ショーのモデルを引き続きやるよう頼まれるが、あまり乗り気でない。しかし、ルシアンのオズに対する挑発的な態度が気に入らなかったメッシュは半分意地で引き受けてしまう。
カーニバルでのショーはもうすぐ。重労働のモデル業を引き受けたメッシュはへとへとになる。オズはルシアンとマルラの言葉に翻弄され、色使いを迷い始めるが‥。
コメント
今回のテーマは、パリと言えば「ファッション・デザイン」という、そのものずばりの世界です。それもカーニバルが舞台になって、狂騒と混乱と、新進のデザイナーの苦しみと栄光が描かれています。
華やかさの裏にある戦場のような忙しさの舞台裏がルシアンの表と裏に重なって、二つの世界、二つの顔をさらけ出している、そんな印象をもちました。派手で明るく、それでいて非常に暗い面をもつ作品です。
ルシアンのような男を見ると、どうしても「残酷な神が支配する」のグレッグを思い起こしてしまいます。
かつて男たちの欲望の中で右往左往していたメッシュでしたが、だいぶ強くなり、ルシアンに対して「やり返す」ことを覚えます。でも結局やり返しきれないところがメッシュの優しいところというか、弱いところなのでしょう。
相変わらずタイミングよく現れて、メッシュを慰める役のミロン。ニースに行ってしまうミロンをちょっとだけ引き留めると、「仕事、しんどいか?」とメッシュに聞きます。ほんの少しの変化でもすぐわかるのが、この人の凄いところだと思います。ミロンについて行きたいと思いながら、仕事を引き受けたのだからと、無責任なことは出来なくなっているメッシュも大人になりました。
収録書籍
謝肉祭 メッシュ6


謝肉祭 メッシュ6 小学館 1983.11


萩尾望都作品集・第二期 第14巻 メッシュ 4

萩尾望都作品集・第二期 14 メッシュ 4 小学館 1986.1

メッシュ 第3巻

メッシュ 第3巻 白泉社文庫 1994.12

萩尾望都パーフェクトセレクション 5 メッシュ II

Perfect Selection 5 メッシュ II 小学館 2007.10.31

モザイク・ラセン