作品目録

集会

Bradbury傑作選

原作
レイ・ブラッドベリ Homecoming
初出誌
「週刊マーガレット」1978年第32号(1978年7月30日号) p201~231(31p)
登場人物
ティモシー
シシィ:ティモシーの妹。
エナー:ティモシーの叔父。
エレン:ティモシーの姉。
ローラ:ティモシーの姉。
とうさん:ティモシーの父親。
かあさん:ティモシーの母親。
あらすじ
万聖節の宵祭(ハロウィーン)がやってくる。ティモシーの一家はハロウィーンでたくさんの招待客を迎える準備で忙しいが、ティモシーは出来そこないなので肩身が狭い。ティモシーらはパンパネラの一族なのだ。
集会にはティモシーの大好きなエナー叔父さんもやって来る。エナー叔父さんの力を借りて本来ティモシーも持っている「翼」を広げて「飛行」することが出来た。いつか自分だけの力で飛んでみたいとティモシーは思う。闇を好きになり、毒キノコもお酒も平気になりたいと願う。
翌日、日没後みな起きだして集会が始まった。ティモシーも手伝いをしているが、誰も彼の相手をしてくれない……。
コメント
最後の「青い死の影」の意味をそのまま受け取って、ティモシーはまもなく死ぬのかなと考えてもよかったのですが、なんだかちょっと気になって原作を読んでみました。パンパネラはそのままでは(意図しなければ)鏡に映らないのに、ティモシーは鏡に映っている。原作ではみんなが棺桶で練るのに、このこはふつうの個室を与えられ、ベッドで寝ている。その個室に彼にだけ与えられた鏡があるという一節があります。彼が鏡に映ることは、それだけ彼に「魔」としての素質が少ないことを表してもいるのかなと思います。
テーマとしては「異端の中の異端」なんでしょうか。もともとパンパネラは人間から見たら「異端」です。その中で闇が怖かったり、毒キノコが食べられなかったりするティモシーは「異端」です。そこでエナー叔父にこんな言葉を語らせています。
怒るんじゃないよ…誰でもそれぞれの生き方というものがある。
おまえにだってね。
この世はわれわれにとって死んでいる…
いたるところで死んでいる。
そうさ。いちばん少ない生き方をするものが
いちばん豊かに生きることになる。
価値が少ないなんて考えるんじゃないよ…
いいかい
わたしのいったことを けっして忘れるんじゃないよ。
原作を読んだときには気持ちの悪いシーンだった蜘蛛がティモシーをなぐさめるシーンですが、萩尾先生の手にかかると、ほほえましいシーンになるのが不思議と言えば不思議です。

2010.6.22

収録書籍
ウは宇宙船のウ―ブラッドベリSF傑作選

ウは宇宙船のウ―ブラッドベリSF傑作選(集英社漫画文庫) 1978.12

萩尾望都作品集・第二期 第6巻 ウは宇宙船のウ

萩尾望都作品集・第2期 6 ウは宇宙船のウ 小学館 1985.12

ウは宇宙船のウ (小学館文庫・新版)

ウは宇宙船のウ 小学館文庫・新版 1997.9.1

十月のカーニヴァル 異形コレクション綺賓館1

十月のカーニヴァル 異形コレクション綺賓館1 光文社 2000.10.25

入手しやすい本作品収録の単行本 ウは宇宙船のウ (小学館文庫・新版)

ウは宇宙船のウ (小学館文庫・新版)  小学館 1997.9.1

amazonで購入する

びっくり箱

恐るべき子どもたち