作品目録

湖畔にて―エーリク 十四と半分の年の夏

 

初出誌
「ストロベリー・フィールズ」新書館 1976年11月5日 書き下ろし p15~42(28p)
あらすじ
ユーリの転校のすぐ後の夏休み、エーリクは義父のシドとボーデンの湖畔で過ごすことにした。シドは古いホテルを経営していたが、そこは気のいい兄夫婦にまかせて、自分は近くにボロい花と草で囲まれた家を借りていた。
シドはおよそ父親らしくなく、エーリクに勉強しろとも早く寝ろとも言わず、ただ一日本を読んでいる。エーリクも心地よく静かに暮らしている。
二人ともなかなか口に出せなかったのはマリエの名前。シドの妻でエーリクの母親だが、新婚旅行中に事故で亡くなっていた。ある日シドがエーリクにマリエによく似ていると言った。それからある晩二人でマリエの話をたくさんした。
ユーリから手紙が来た。エーリクは短い返事を書く。言葉では何も語れない
ある朝オスカーが訪ねてくる。休暇中はいつも旅行をしているオスカーは神学校へ行ってユーリに会ってきた、元気そうだったと語る。オスカーは4日いてまた旅に出た。
エーリクは考える。失ったものは帰ってくるのだろうか、いつか思いは実を結ぶのだろうか、と。
コメント
この作品は2色カラーのイラストの横に詩のように言葉が添えられており、イラストの分類に入るのですが、ストーリー性が高く長い作品のため、こちらに入れました。
いわずと知れた「トーマの心臓」その後です。しかも直後のお話です。エーリクの一人称でシドと過ごした一夏の心象風景が語られています。
「ユリスモール・バイハンはぼくの友人だった」これは有名なセリフですね。シドはユーリ・シドという名なので、普段はシドと呼んでいますが、時々「ユーリ」と言ってしまい、ドキっとするエーリク。早く大人になればこんなにドキドキすることもないだろうと、まるっきり失恋直後の女の子です。
オスカーは卒業したら逢おうぜなんてカッコいいこと言って別れたくせに、もうユーリに会いに行っています。ユーリは相変わらず成績が良く、夏休みだというのに家に帰っていないようです。
「トーマの心臓」で語られていた「少年の日」をそのまま引きずった美しい作品です。
収録書籍
ストロベリーフィールズ


ストロベリーフィールズ 新書館 1976.11.5


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