作品目録

小夜の縫うゆかた

 

初出誌
「週刊少女コミック」1971年夏の増刊(1971.9.1) 16p
あらすじ
中学生の小夜は2年前に母親を亡くし、兄と父の3人暮らし。家庭科の宿題で浴衣が出た。小夜は母親が縫うつもりで縫えなかった布を出し、自分で縫い始める。母親との想い出を辿りながら...
コメント
日本の情緒が細やかにしっとりと、それでいて明るく描かれている傑作です。高橋留美子氏も絶賛しています。萩尾先生の作品は外国が舞台になることが多いのですが、純和風の叙情あふれる作品もあり、この他に私が気に入ってるのは「赤ッ毛のいとこ」です。
特に浴衣を縫いながら、小夜が昔を想い出すシーン。ふっと時がかえって回想シーンに入るのですが、あの切り返しは映画的というべきでしょうか。映像切り替え方法としては確立されたものかもしれませんが、漫画なのでとてもテンポよく、でも叙情的で、短編の名手である萩尾先生の作品の中でも名シーンの一つだと思います。
兄の友人にほのかな憧れを抱き、彼が他の女性に眼を向けると拗ねてしまう少女の愛らしさも、嫌味が全くなく、さらりと描かれています。また、子供の頃母親が縫ってくれた浴衣を、今は自分で縫うという、少女が大人になっていく過程をみずみずしく描いた作品でもあります。
こういう作品に出会うと、私は頭の中で音読してみたくなるのです。もちろん絵があっての漫画ですし、絵も素晴らしいのですが、あまりのストーリーの素晴らしさに、つい音だけで作品を再現したくなります。全てがフェード・イン、フェード・アウトで構成されたラジオドラマのようだと思うのです。読んでいるとお祭りの音が聞こえてくるような気がしてならないのです。
収録書籍
トーマの心臓 第3巻(フラワー・コミックス43)

トーマの心臓 3 フラワーコミックス 小学館 1975.6

11月のギムナジウム―ロマン短編集

11月のギムナジウム―ロマン短編集 小学館文庫 1976.4

萩尾望都作品集 第2巻 塔のある家

萩尾望都作品集 2 塔のある家 小学館 1977.4

萩尾望都パーフェクトセレクション 9 半神

Perfect Selection 9 半神 小学館 2008.3.2

珠玉の名作アンソロジー 1 家族の情景

珠玉の名作アンソロジー 1 家族の情景  小学館文庫 2009.11.19

ルルとミミ

ルルとミミ 小学館文庫 小学館 2012.9.20

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ルルとミミ(小学館文庫) 小学館 2012.9.20

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